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はじめまして、「鳩棲舎(きゅうせいしゃ)」代表の清野ちさと(せいのちさと)です。

【どんな活動をしているの】

夫である清野公一(せいのこういち)と結成した
2人組のアートユニットです。
おもに、次のような活動をしています。
・企業から受けた依頼でイラストレーションの制作やデザインを行う
・自分たちで描いたイラストを使ったグッズの製作、販売を行う
・個展などを開いて、作品を発表する

【鳩棲舎が生まれたきっかけ】

わたしは子どもの頃から絵を描くことやものをつくることが好きでした。
誰に言われるわけでもなく、毎日夜遅くまで制作していました。
自分で描いた絵やデザインしたメモ帳や手帳、サイン帳などを学校に持っていったら、
友だちが「わたしにも作ってほしい」「俺の絵をかいてくれ」と言ってきたので
よく手描きで生産していました。
わたしにとってのアートは、人とつながるための一番の手段でした。
ある友だちがこう言ってくれました。
「わたしはあなたの絵が好きなんだ。」と。

大人になり、私は中学校の美術の先生になりました。
自分で作ることも好きだったのですが、だれかに芸術の素晴らしさを伝えることも、一つの夢でした。
しかしそう甘くはありませんでした。
職員室や教室。たくさんの人がいる場所で、担任の仕事や事務、授業の準備などをこなすのは、
私にはとても難しい仕事でした。
肉体的にも精神的にも、常に余裕のない状態が続きました。
美術の授業では、作品にダメ出しをして、生徒が悲しそうな顔になりました。
あるときは自分の考えを押し付け、生徒と言い争いになりました。
体を壊して休むことも増えました。
絵を描きたい、ものをつくりたいという気持ちが、これっぽっちも起こらないことに驚きました。
ある時、美術準備室に置いてある鏡にうつった自分の姿を見て思います。
「芸術を教えている人が、死んだ目をしている。」

そんな中、わたしを少しずつ救ってくれたのは、だれかの作品でした。
あるときは生徒の絵、あるときは美術館に飾ってある絵、あるときはお店に並んでいるグッズでした。

「この人には、世界はこんな風に見えているんだな、すごいなあ」
「この人とわたしは時代も国も性別も違う。
でも、この人がこの絵を描いているとき、わたしと同じ気持ちを味わっていたのだな」
「すごくかわいい!この人のセンス、好きだなあ」
自分の好きな作品を見ると、心が回復していくような気がしました。

休日に少しだけ絵を描くことができるようになると、さらに力が湧いてくるのを感じられました。
自分が、いちばん自分らしく生きるためにはどうしたらいいんだろう、と考えるようになっていきました。
子供のときから好きでしかたなかった、絵を描いたり、ものをつくったりしているとき、
最高に自分らしくいられるのだ、と思い、
徐々に制作活動に専念したいという考えが思い浮かびます。
しかし、自信もなく、自分の作品が世に必要とされるのか不安でした。
そんなとき夫はある話をしてくれました。

「ロシア留学時代に、ロシア語の先生がわたしに絵を発表しないのかと聞くので、
そのつもりはないし、わたしが死んだらゴミ箱にでも捨ててもらっていいと答えると、
先生は突然怒り出し
「あなたの作品は人類全体の財産なのに、あなたはそれを独り占めするのか」とおっしゃいました。
これ以上に衝撃的な励ましを聞いたことがないので、今度はわたしがあなたにこれを言う番です。
「あなたの才能は人類全体の財産なのに、これを実現しないまま、
あなたはこの世を去ろうというのですか」」

だれかの作品に、わたしが希望をもらったように
わたしの作品も、だれかに希望を与えることができるかもしれない。
夫はそれを全身全霊で伝えてくれました。
怖かったけれど、わたしは先生の仕事を辞め、「鳩棲舎」を立ち上げました。
夫と「日本では、芸術って、
まだまだよくわからないもの、とっつきにくいもの、っていう印象があるよね。
絵画やイラストを使ったグッズを作って、みんなが気軽に手に取れるようにしたらどうかな?」と話して
アート作品を使ったグッズを製作、販売することにしました。
少しずつお客さんが、私たちの作品やグッズを手にとってくれるようになりました。
「あなたの絵が好きなんだ。」
今でもそう言って笑顔になってくれる人がいることを、
心から感謝しています。

【あなたのことを笑顔にできたらいいと思う】

じつは、人間は衣食住が満たされていれば、幸せに過ごせるいきものではありません。
自分の人生に「自分らしさ」がなければ、しゅん、となってしまういきものです。
しかし、芸術には、人に希望を与え「自分らしさ」を大切にすることを思い出させてくれる、そんな力があります。

もういちど、好奇心をもってこの世界を見てみよう。
そして、自分たちがまず、ワクワクするようなことをして、
見た人も笑顔になったら素敵だね。
そんな思いで始めた「鳩棲舎」です。
あなたが「鳩棲舎」のグッズを手にする瞬間。
それが喜びであり、希望であり、
「自分らしさ」を大切にする人生をいまいちど思い出す、
笑顔になる瞬間でありますように。

清野ちさと

【経歴】

清野ちさと
SEINO CHISATO

1986年生まれ。埼玉県在住。2009年、武蔵野美術大学日本画学科卒業。在学中は日本画の伝統技法を学ぶ。中学校の美術教員を8年間務めたのち、2017年に退職。絵画やイラストレーション、工芸など、さまざまな分野の作品を制作する。ポップさとユーモアがありつつも、不条理や不気味さを秘めた表現が得意。
2009年 武蔵野美術大学 卒業制作 優秀作品展
2017年 第15回TIS公募展 入選
2018年 個展「世界とわたし」

アーティストとしての作品はこちら。

清野公一
SEINO KOICHI

1979年生まれ。山形県出身。埼玉県在住。広島市立大学芸術学部美術学科油絵専攻卒業。ロシアのサンクトペテルブルク芸術アカデミーに留学。在学中は専門の油絵のほか、洋画の古典技法や、銅版画、シルクスクリーンなどを研究した。繊細で緻密な表現や、シャープなデザインが得意。ロシア語の翻訳家としても活動している。
2002年 広島県・岡山県大学美術系卒業制作選抜展

アーティストとしての作品はこちら。